2017年05月07日

[SF] 小松左京『見知らぬ明日』、やっぱり傑作

先月買い込んだ小松左京のKindle本を読み進めているが、久々に読んでも古さを感じることなく、とにかく面白い。先日読み終わった『見知らぬ明日』は、設定を現代に変えて映画化してくれたら『シン・ゴジラ』超えるんじゃないかと思うくらいである。

mishiranu.jpg見知らぬ明日 小松左京
KADOKAWA / 角川書店 (2015/8/25)

1969年に書かれた173頁の長編作品。
本作、一言で言えば宇宙からの侵略ものである。

「宇宙人が攻めてきた」と口にした途端に馬鹿馬鹿しく、嘘っぽく感じられる感覚は、現代も本作が書かれた50年近く前も変わらない。だが、そこからよく知った今日の現実は終わり、見知らぬ明日が始まる。

とにかくリアルである。
まず第一に、宇宙人は派手に大都市に攻めてきたりしない。侵略が行われるのは中国の奥地である。当時、60年代後半の中国といえば文化大革命の真っ最中、各国との国交は絶たれている。情報が届かぬ中で侵略戦争は進んでいく。
そして第二に、共通の敵に対して人類は簡単に一致団結などできない。冷戦状態の米ソ、そして欧州、アジアの国々がそれぞれの思惑で政治劇を繰り広げる。その騒ぎの中で、戦いは拡大し激烈さを増していく。
やがて、宇宙人の圧倒的な戦力により戦線は中国からソ連、インドの国境を越える。侵略者には地球の通常兵器はほとんど意味をなさない。唯一、効果があるのは核兵器のみ。ついに大国は核攻撃を開始するが、宇宙人は世界中に展開を始める。もちろん、日本にも。

と、まぁシン・ゴジラを世界レベルにスケールアップしたような話しだが、これは50年近く前に書かれた小説である。
とりあえずシン・ゴジラ観て、面白かった人はぜひ読んで欲しいと思う。
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2017年05月03日

[コミック] 諸星大二郎「暗黒神話」の完全版

諸星大二郎は少年ジャンプでデビュー作の「生物都市」読んで以来のファンだが、中でも初期の長編である「暗黒神話」は思い入れがある。
その暗黒神話が2014年に突如、完全版として雑誌連載を始めた時には驚くと同時に喜んだものだが、連載をまとめた単行本は気付いた時は、数量限定で出版され売り切れており、だいぶショックだった。
それがようやくこの春、集英社より出版となり、この連休にじっくりと一頁づつ新旧読み比べて見た。

暗黒神話 諸星大二郎 (集英社)
「完全版」という文字はないが、「完全版」をベースに加筆、書き下ろしを加えたものということで、これが最新版となる。

右が1977年の初版、左が今回の2017年のもの。
20170502os.jpg

本編の頁数は初版が185頁、2017年版は281頁で100頁ほど増えている。新たに追加された頁も多いが、コマ単位でも追加、変更がなされており、昔のコマの一部が書き換えられていたりもする(登場人物が増えたり入れ替わったりしている)。諸星氏の画風が40年経ってもあまり変わっていないので、さほど不自然さはない。
この手の完全版は、どうでもいいエピソードやカットが追加されただけというのもあるが、本作についてはそのような感じもない。もともと単行本一冊に納めるために連載を制限されたという話しもあるし、書けなかった部分を書き足したのだろう。初版では唐突に感じられた主人公の行動や、詳細を語られなかったエピソードが書かれているので、まさに完全版という感じである。

装丁の方も、グレーがかった紙に、もともと白黒2色の作品だったが、黒と銀のインクを使い分けるなど凝った作りとなっている。その分、価格も高めになっているので、ファンでなければソフトカバーの普通の装丁のものも欲しいかもしれない。
なお、初版と同内容の暗黒神話も販売されてはいるが、内容的にはやはりこの完全版を読んだ方がと思う。

それにしても40年を経て、完全版が読めるなんて思いもしなかったし、実に嬉しいことである。

9784086170901.jpg暗黒神話 諸星大二郎 (集英社文庫)
旧バージョンの暗黒神話

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2017年04月10日

[SF] Kindleで小松左京の名作を読む

小松左京といえば、主に1960年代から80年代に活躍をしたSF作家であり、自分も学生時代からのファンである。とは言え、さすがに昨今は本屋に行っても小松左京の本を見かけることはほとんどない。
今でもたまに、あの本が読みたいと思い出すこともあるが、自分の本も捨ててはないが何度かの引っ越しで簡単には見つからなくなっている。
ところが、一昨年くらいからだろうか、Kindleの電子書籍で復刊されはじめた。特に角川文庫版。昔は本屋の角川文庫の本棚一列がほとんど小松左京で占められるくらいに出版されていたものだった。
これは読まなくてはなぁと思っているうちに時間が経ってしまったが、先日Kindleが角川の電子書籍半額のセールを行っていたので、これを機会に買ってみた。

お得なのが電子書籍オリジナルの小松左京短編集。これから小松左京を読んでみようと思う人には、ここからお勧め。自分も改めて購入した。

51Gyn7HEuuL._SL160_.jpg小松左京短編集 東浩紀セレクション
KADOKAWA / 角川書店 (2016/7/25)
「神への長い道」「結晶星団」「ゴルディアスの結び目」が一冊になっているだけで贅沢なことなのだが、「物体O」も入っているし、その他あれこれ全15編で548ページ、紙の角川文庫に換算すると700ページ以上だとか。

512IKDvs-FL._SL160_.jpg小松左京短編集 大森望セレクション
KADOKAWA / 角川書店 (2016/7/25)
東浩紀セレクションがSF作品のみなのに対し、SF以外の作品も含めて残りの名作をを選んだ感じだろうか。全15編で384ページ。ホラーの名作「くだんのはは」もあれば、本格SF「氷の下の暗い顔」も収録されている。

ひさびさに小松左京を読んだが、今読んでもとても面白い。こうやって過去の名作を簡単に読めるのは電子書籍のおかげだし、特に上記の二冊のような贅沢な短編集が読めるなんで良い時代になったと思う。
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2016年02月27日

[Kindle本] 光文社新書の本 三冊

昨年末くらいにAmazon光文社新書Kindle本のセールをしていたので三冊ほど購入した。一通り読み終えて、どれも面白かったので紹介しておく(セールは終了)。

宇宙はどうして始まったのか (光文社新書)
松原隆彦 (著)

宇宙の始まりをテーマに、現代宇宙論を広く浅く解説した本。
数字の類は一切出てこないので、気軽にざっくり宇宙論を知りたい人に良いかと。
読んで思ったのは、最近どんどん物理学も進んで色んなことが判ってきたように思ってたのだが、意外と行き詰っているのかなという感じ。仮説は多いが、なかなか決定だが出ないようだ。
まぁ、先日、重力波が観測されたとか騒いでいたし、なんのかのと進んではいくんだろうとは思う。

昆虫はすごい (光文社新書)
丸山 宗利 (著)

昆虫の面白いエピソードを集めた本なのだが、本当に「すごい」話しばかり、これでもかと続く。
たとえば、ある種の寄生蜂は、産み付けた一つの卵が数千の卵に分裂して増殖する。これだけでもすごいが、この幼虫た
ちがイモムシの中で他の寄生蜂の幼虫と戦い、そのための兵隊幼虫までいるんだという。
そもそも蜂の仲間の多くは、小さな寄生蜂で大型の蜂は少数派なんだとか。
もちろん寄生蜂意外の話しもたくさん載っているので、虫嫌いでなければお薦め。

教養としての聖書 (光文社新書)
橋爪 大三郎 (著)

聖書を読むにあたってのツボを説明した入門書的な位置づけの本らしいのだが、自分のようにキリスト教徒でもないし、分厚い聖書を読む気にはならならいが、何が書いてあるかざっくり知りたい人にもいいんではないかと重思う。
ちなみに取り上げているのは「創世記」「出エジプト記」「申命記」「マルコによる福音書」「ローマ人への手紙」「ヨハネ黙示録」なので、そのくらいは知っているという人は注意。

しかし、Amazonが次から次とKindle本のセールするので、いよいよ紙の本は買わなくなった。月末は月替わりセールの本を慌ててチェックするようになった(笑)
ちなみに二月のセールでは以下購入。

僕が伝えたかったこと、古川享のパソコン秘史
NextPublishing
古川享 (著)

汝、コンピューターの夢 〈八世界〉全短編
創元SF文庫
ジョン・ヴァーリイ (著)


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2015年09月14日

[SF] 貴志祐介『新世界より』を(今ごろ)読んだ

新しい本ではないだが、この夏に読んで面白かった本。

新世界より(上) (講談社文庫)
貴志祐介

2008年に出版され、その年のSF大賞を受賞、2011年には文庫本になっているので今更ではあるのだが、気になりつつも手が出なかったのはその分厚さ、なにしろ1500頁。
そして、今回読めたのは電子書籍のおかげだが、いざ読み始めると分量も気にならず一気に読めた。

コミックやアニメ化もされているようなので(未見)、今更内容の紹介もないのだが、1000年後の現代文明が崩壊し、超能力をもった僅かな人間が生きている世界、それを取り巻く異様な生態系など、頁がたっぷりあるので、みっちり描かれていて面白い。

未読の人は秋の夜長にお薦め。
ちなみに今現在、AmazonはKindle本のポイント20%のセール中。


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2015年06月14日

[書籍] Amazon Kindle本 ポイント50%オフで購入の話し

先月末のAmazon Kindle本のポイント50%セール(?)、実質の半額は魅力なので何冊か急いで購入してみた。
なお、50%オフは既に終了(これを書いている最中に確認したら20%をやってた)、またKinddle本の価格は結構変動したりするので、ここに書いた価格等は違っている可能性大なので注意。

まずは気になってたけど高いので後回しにしてた有名なこれ
Code Complete 第2版 上 完全なプログラミングを目指して [Kindle版]
スティーブ マコネル(著), クイープ(訳)

紙の書籍価格 6,588円のところ、Kindle本は40%オフの3,952円、さらにポイント50%で実質1,976円。安い。
ちなみに今現在は、50%オフの3.294円にポイント20%で2,636円なり。まぁ、安い。

戻ってきた1,976ポイントで、すぐに次の本を購入・・・と思ったが、買ったKindlle本はすぐにダウンロードできるが、ポイントが帰ってくるには半日ほど待たされた。
次は、最近流行っている人工知能ものを購入することにする。

AIの衝撃 人工知能は人類の敵か (講談社現代新書)
[Kindle版]
小林雅一(著)

今年の春先に新書で発売されて、書評でも評判良さ気だった本。

人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書)
[Kindle版]
松尾 豊(著)

これも同じ時期に発売された本で評判良好。

とりあえず二冊読んでおけば、大凡はわかるのではという考え。

Amazonはポイントで買ってもポイント付くので、ここで691ポイント取得、先ほどの残りも合わせると、まだ1,285ポイントある。これを使えば、また600ポイント取得、と行きたかったが、ポイントを待っている間に50%オフは終了。

ちなみにこの50%オフは特に案内されなかったと思うが、楽天のセールに合わせたという噂をネットでみたので、次の楽天セールが狙い目かもしれない。

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2014年11月12日

[コミック] 『寄生獣』映画化だそうで

岩明均のコミック『寄生獣』が今頃何故か映画化ということで、懐かしくなって再読してみた。

寄生獣 新装版 全巻セット(1巻〜10巻) 岩明均
1988年から1995年に雑誌に連載していた作品。
謎の生物に寄生された人間の変形ぶりが斬新で記憶に残る。
当時、てっきり宇宙生物と思って読んでたのだが、読み返すとそんなことは書かれてなく、謎のままだった。Wikipediaを読むと、作者は宇宙生物の気はなかったようだ。今頃知って驚く(笑)。
あらためて読んでも古臭さを感じず、充分に面白い。むしろ、女子高生の制服のスカートの長さに時代を感じる(笑)。あと、スマホどころか携帯電話も当然ながら使ってないし。
と、作品に関係ないところで懐かしさを感じてしまった。

連載中の1991年に映画「ターミネータ2」が公開され、こんなCGが使えるなら『寄生獣』も実写映画化が可能なんじゃないかと話してたことを思い出した。それからもう二十年以上経ってしまったわけだ。
今回の映画は、TVのCMで観ただけなのだが、寄生獣のCGがクレイ・アニメっぽくて、あまりリアルではないようだ。本当は人間の体が変形するのだから、もっと違った感じになると思うのだが、もっとも、それをリアルに映像化すると、先日記事にした『遊星からの物体X』並みにグロテスクになって、別の映画になってしまうかもしれないが。

寄生獣 [完全版] 全巻セット (1-8巻 全巻)
完全版は、連載時のカラーページがカラー印刷のまま収録されているのが違いらしい。

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2014年06月16日

[コミック] 諸星大二郎 妖怪ハンターの新刊など

諸星大二郎のコミックは、それは昔からのファンである。その中でも妖怪ハンターのシリーズは好きなのだが・・・今年新刊が出ていることに気づいていなかった。
先日知って、早速購入する。
妖怪ハンター 稗田の生徒たち(1)
夢見村にて
諸星大二郎(著) 集英社

ひさびさの妖怪ハンターシリーズだ。単行本だと9年ぶりくらいになる。それは気がつかないわけだと言い訳をしておく。
タイトルのとおり、主役は今までの稗田礼二郎から、その生徒(?)たちにバトンタッチされているが、中身はいつもの諸星ワールド。
何年経っても変わらないこの独自の世界には感心するしかない。

ついでに前から少し気になっていた文藝別冊 [総特集]諸星大二郎 異界と俗世の狭間から (河出書房新社)も一緒に購入する。二万字ロングインタビューも興味深いが、著名な漫画家たちの特別寄稿も興味深い。

そして、スーパーでガチャガチャをみれば海洋堂からカプセルQ 諸星大二郎 立体異形図譜が出ている。これも数個思わず購入。

そんなこんなで妙に諸星大二郎づいているこの頃である。

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2014年05月16日

[SF] Gene Mapper -core- を読む 今頃だけど・・・

ひさびさに新鮮なSF小説に出会った。

Gene Mapper -core- [Kindle版]
(著)藤井太洋

一昨年に個人で電子書籍出版して話題になってた作品だが、なんとなく手が出なかったのは、近未来SF物に少々飽きてたことがある。あと、この手は暗い未来に後味が悪いし・・・
が、しかし、そんな予想は見事に外れた。面白い。

実は、KindleSamsungブックベネフィットで今月の無料本だったので入手したのだが、これだったらもっと早くにお金出して買っても良かった。

遺伝子操作と拡張現実が当たり前となった未来、主人公の農作物の遺伝子操作をするスタイルシート・デザイナ。
ここまでは、まだよくある話しかと読んでたが、インターネットが崩壊し封鎖され、残された情報をサルベージするインターネット・ダイバー、ってあたりから、この世界に魅了された。まだまだ、近未来を描くアイデアはあるんだなぁと感心。
小説としては、だいぶ荒いところも多々あるが、それを気にせずに一気に読める面白さがある。

ところで先月には紙の本も含めて、増補改稿完全版が発売されている。
Gene Mapper -full build-
(著)藤井太洋
元の分量の1.8倍以上とか。まだcoreを読んだばかりなので、もうしばらく経ったら買ってみようかと思う。

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2014年05月03日

[ファンダジー] コロボックル物語が新たに 『コロボックル絵物語』

子供の頃から佐藤さとるの作品のファンであり、特にコロボックル物語への思い入れは大きい。どのくらいあるかと言うと、数年前に講談社文庫からシリーズが復刊されたとき、思わずまた買ってしまったくらいだ。
そのコロボックル物語が有川浩によって再び書き始められたということで、興味半分、期待半分で購入してみた。

コロボックル絵物語
(Colobockle Picture Book)

(著)有川浩 (絵)村上勉
講談社 (2014/4/16)

村上勉の表紙が嬉しい。村上勉の絵と佐藤さとるの作品は自分の中では完全に不可分だ。
と思ったら、全編、すべての頁にイラストが入っていた。絵物語と言うだけある。もうこれだけで、ほぼ満足する。
内容の方は詳しくは書かないが、新しいコロボックル物語というよりは、コロボックル物語のファンのために書かれた小編といった感じだった。元のコロボックル物語のダイジェスト(?)が結構な割り合いを占める。
これから長編を書き始めるにあたっての「おひろめ」らしいので、それならば、これはこれで良いのかも知れない。
私が見た書店では、どこも児童書の売り場でなく小説のコーナにあったのが少々気になると思いつつ、長編を待ちたい。

コロボックル物語未読の人はまずこれから読むべし。

コロボックル物語1 だれも知らない小さな国
(著)佐藤さとる
講談社文庫


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